6.1 GMOの国民理解のボトルネックと課題
(1)日本では遺伝子組換えの必要性が十分に理解されていない
(2)その背景には遺伝子組換え技術のわかりにくさ、伝わりにくさがある
(3)リスクや安全性についての考え方が国民に普及していない
6.2 GMOに対する国民理解増進のための7つの政策提言
【提言1】わが国の食料確保の将来像の明確化
・わが国の将来にわたる食料確保について、わが国の農業のあり方も含め、遺伝子組換え農作物・食品の利用の可否をも考慮した上で、政府自らが明確にすることが必須である。
【提言2】理解増進に向けた関係者の協力推進
・政府関係者も含め、研究者、開発者、流通業者、教育者、消費者等、関係者全員が一体となって説明・情報提供するための組織を構築し、この組織を中核として多くの説明者を養成することが必須である。
【提言3】遺伝子リテラシー教育の積極的な推進
・初等中等教育が社会人になってからの考え方に大きく影響するため、遺伝子やGMOに関する知識を教える際、現状ではさまざまな課題を抱えている理科・生物と家庭科・社会科の教育内容を適正化し、科目間連携による遺伝子リテラシー教育の推進が必須である。
【提言4】リスクコミュニケーター、サイエンスコミュニケーターの養成
・実際に消費者を対象とするコミュニケーションを進めるためには、説明者としての研究者・教育者の養成ばかりでなく、メディアや消費者等対象者毎に適切な説明教材や応用教材を開発し、関係者全員で共有する仕組みを作ることが必須である。
【提言5】マスメディアを通じた正確な情報発信
・消費者の意識構築に大きな影響を及ぼすマスメディアに対して、遺伝子やGMOに関する正確な情報を集中連続講義やほ場見学会、遺伝子組換え食品の試食会等さまざまな機会を設定して効率的に提供することが重要である。
【提言6】効果的な理解増進手法の開発と展開
・従来の講義型の説明会ではなく、参加者と説明者が互いに意見交換や会話をしながら理解を深める体験型・参加型の説明会を頻繁に開催することが重要である。
【提言7】消費者が選択できる市場構造
・「組換え不使用表示」により、多くの消費者が遺伝子組換えは危険と思い込んでいる実態があり、正確な知識の普及と同時に、誤解を与える表示を改めることが重要である。
印刷用PDF: 02 第6章